生産者名 川越 俊作 さん

生産地
宮崎県田野町
生産品目
野菜加工品

「野菜は結果・土台が大事」

自然栽培を始められる新規就農者は、有難いことに近年増え続けています。

しかし、このグループは「とにかく土づくりをやる」。

このことを繰り返し話される姿に、自然栽培に対する強い熱意と、自然に対する敬意を深く持たれていることを感じました。

『八重桜会』は川越俊作さん率いる宮崎・自然栽培生産者のグループ。

九州でもトップクラスの自然栽培野菜生産者・川越俊作さんの土づくりを手本とし、自然栽培普及に向けて日々研鑽し合いながら皆さんで励んでおられます。

「まずは換金できない牧草や麦を中心とした土づくり。野菜は結果。土台が大事なんだ。」と、まず野菜が育ちやすい環境を作ること。

この土づくりを、作物を作る前の2~3年は集中して行われています。

いわゆる“団粒化”という土の状態、さらに“雑草も生えない状態”にするのが理想的ですが、その土づくりに向けての宮崎でのプロセスを、川越さんはご自身の経験から確立されており、その経験を惜しみなくグループのメンバーへ伝えていかれます。

そのプロセスでは、まず植物の根で土壌を砕いていき、そこに、その腐植をすき込みながら微生物の活動を盛んにしていく。

その腐植のすき込むタイミングが肝心で、自然栽培ですから本来はそこにある植物が生命をまっとうして(枯れてから)すき込むのが理想ですが、まずは、雑草の生えない土づくりの為に、最初はまだ植物が青い状態で刈り取り、完全に枯れてからすき込む。とにかくこれを年に3回くらいのペースで続けていく。「これは不自然農法と言わざるを得ないが、この“連発”といわれる作業を繰り返し、土の状態を見ながら、腐植をすき込む間隔をあけていき、最後には“生命のまっとう”といわれる状態、植物がしっかりと枯れきったタイミングですき込んでいく。」このプロセスこそが、団粒化された雑草も生えない“奇跡の自然栽培土壌”を作り出すのです。

そこで育った作物は、しっかりと根を張り、自然の力で確実に成長していき、雑味の無い後味のすっきりとした、心から美味しいと思える作物へ成長するのだと実感しました。

今回圃場を見せていただく中で、まだ成長途中の「らっきょう」を引っこ抜き、かじらせていただいたのですが、旨みと辛みがふわっと口の中に広がり、その余韻を残しつつ後味はすっきりとしている。

こんなに“旨い”らっきょうがあるのかと感動を覚えたほどです。

「観察学である」

しかし、大切なのは「土の状態を見ること」。

これこそが、自然栽培の理念であり、最大の永遠の課題であるのだとも感じました。

ただ、プロセスを聞いたままにやるだけではダメ。自己流でもダメ。全て自然規範でものごとを考える観察力が必要とされることが、どんな話からも結果的にたどり着くところでした。

畑一枚一枚違えば、その畑の中でも少しづつ違う。その畑に対し、土づくりが何年かかるかも分からないし、どんな作物が合うのかも土づくりを進めていく中で分かってくること。

もちろん土づくりを進めていくには、長い時間・年月を必要とします。さらに川越さんの地域では災害や鳥獣の被害に遭われることも多く、メンバーそれぞれに苦労・苦難の日々もあると話されます。

「自然栽培の野菜を作りたい」という熱い想いを持って川越さんのところに師事してくるメンバーに、“長いスパンで物事を考える力”も持ってほしいという想いは、ただやりたいという気持ちだけでは出来ない、農業としての自然栽培の難しさを川越さん自身が強く実感されたから。

「いきなり自然栽培は難しい。宮崎では、ほとんどが農業で生計を立てている生産者だから、出来ないのならやらない方がいい。それでもやるなら同時に土づくりをしながら長いスパンで考えないといけない。」と、継続できる自然栽培を目指すからこそ、最初から厳しい現状も伝えていかれます。

 

「川越さんが伝えたいもの」

この「八重桜会の土づくり」をしっかり取り組まれた川越さんの圃場も見させていただきましたが、もちろん雑草は生えておらず、団粒化の進んだ土。

どこまでもスコップが入るほどふかふかで温かく、その上に立っているだけで気持ちまで浄化されるような美しい圃場でした。思わず手に取り、一口舐めてみると、無味・無臭。全く余計なものが入っていません。

これぞ川越さんが伝えたい“自然栽培の土づくり”なのだと、はっきりとその場に居た全員が感じたことです。

しかし川越さんは仰られます。「この土の状態を作ったのは自分ではない。自然自体がこの状況になっている。人間はその手助けをしているだけ。」この謙虚な姿勢こそ、人間も自然界の一部であるという自然栽培の理念にならった考え方・行為であると、改めて川越さんの農業人である偉大さを感じました。

土づくりの年数を重ねれば重ねるほど、その年数での問題ももちろん出てくるそうですが、その時は自然規範で物事を考え、どんな状況にあっても「自然栽培をやり続ける」という確固たる想いも強くなっていくことを実感しました。

川越さんを中心に、どんどん土づくり・種づくり・人づくりが進んでいく八重桜会。

これからますます宮崎・九州が熱くなりそうです。

 

 

 

 

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